はじめに
築古アパートを所有することには、家賃収入が得られるメリットがありますが、一方で税負担の問題がついて回ります。
不動産を所有し続ける場合も、売却する場合も、適切に税金を理解し、節税対策を講じることで、コストを最小限に抑えることが可能です。
本記事では、築古アパートに関連する税金を詳しく解説し、適用できる節税方法についても紹介します。
築古アパートを所有すると掛かる税金とは?
築古アパートを所有しているだけで、毎年の税負担が発生します。
まずは、所有期間中にかかる代表的な税金を確認しましょう。
固定資産税
固定資産税は、不動産を所有している人に対して課せられる税金で、毎年支払う必要があります。
固定資産税の計算方法
固定資産税 = 固定資産税評価額 × 1.4%(標準税率)
固定資産税評価額は、市区町村が評価した金額で決まり、建物の築年数が古くなると、評価額は下がる傾向にあります。
しかし、建物の価値が下がっても、土地の評価額が高いと固定資産税の負担が大きくなることもあります。
都市計画税
都市計画税は、都市計画区域内の不動産に対して課せられる税金で、固定資産税と一緒に課税されます。
税率は最大0.3%で、固定資産税評価額に基づいて計算されます。
事業税(個人でアパート経営を行う場合)
築古アパートを所有し、家賃収入を得ている場合、事業規模によって「個人事業税」が課されることがあります。
以下の基準を満たす場合、個人事業税の対象となります。
・5棟以上のアパートを所有している
・10室以上の賃貸物件を運営している
事業税の税率は5%で、年間の不動産所得(家賃収入-経費)に応じて計算されます。
所得税
築古アパートの賃貸収入は「不動産所得」として扱われ、所得税の対象になります。
所得税の計算方法は以下のとおりです。
(賃貸収入 - 必要経費)× 所得税率 = 所得税額
必要経費に計上できる主な項目
・修繕費
・減価償却費
・固定資産税
・管理費
・借入金の利息
所得税は累進課税制度が適用され、所得額に応じて税率(5%~45%)が決まります。
節税対策として、適切に経費を計上することが重要です。
住民税
住民税は、前年の課税所得に対して一律約10%が課されます。
住民税の計算方法
(不動産所得 - 所得控除)× 10% = 住民税額
所得税と同様に、賃貸経営にかかる経費を適切に計上することで、住民税の負担を軽減できます。
消費税
アパート経営において、居住用賃貸は消費税が非課税です。
そのため、家賃収入には消費税がかかりません。
しかし、以下のケースでは消費税の負担が発生します。
・店舗や事務所の賃貸収入 → 消費税の課税対象
・管理費・修繕費・リフォーム費用 → 消費税がかかる
また、賃貸収入が年間1,000万円を超える場合、消費税の課税事業者となる可能性があるため注意が必要です。
築古アパートを売却すると発生する税金とは?
築古アパートを売却する場合、売却益(譲渡所得)が発生すると税金がかかります。
売却前に税金の計算をして、手取り額をしっかり把握することが重要です。
譲渡所得税(売却益が出た場合)
譲渡所得税とは、不動産を売却した際に得た利益に課せられる税金です。
税率は、所有期間によって異なるため、売却時期を調整することで節税できる可能性があります。
譲渡所得税の計算方法
譲渡所得 = 売却価格 -(取得費 + 譲渡費用)
譲渡所得税 = 譲渡所得 × 税率
・所有期間が5年以下(短期譲渡) → 税率39.63%
・所有期間が5年以上(長期譲渡) → 税率20.315%
ポイント: 築古アパートを売却するなら、5年以上保有してから売ると税金の負担が軽減されます。
住民税
不動産売却で利益(譲渡所得)が出た場合、翌年の住民税が増加します。
譲渡所得税と同様に、長期譲渡(所有期間5年以上)なら住民税率も低くなります。
✅ 所有期間5年以下(短期譲渡) → 住民税率9%
✅ 所有期間5年以上(長期譲渡) → 住民税率5%
築古アパートの節税対策とは?
築古アパートを所有し続ける場合、または売却する場合に使える節税対策を紹介します。
減価償却を活用する
築古アパートの減価償却費を計上することで、所得税や住民税の負担を軽減できます。
特に、築年数が古い物件を購入すると、短期間で減価償却が可能になるため、節税効果が大きくなります。
・木造アパート(築22年以上)なら、4年間で償却可能
・RC造アパート(築47年以上)なら、6年間で償却可能
固定資産税の軽減措置を活用する
固定資産税は、一定の条件を満たせば軽減措置が適用されます。
・住宅用地の軽減措置(課税標準を1/6に軽減)
・耐震改修を行うと固定資産税が減額される
ポイント:築古アパートの改修を行う際は、税の軽減措置をチェックしましょう。
早めに売却して税負担を回避
築古アパートの維持費や税金が負担になる場合、買取業者に売却することで税負担を回避できます。
特に、相続税や固定資産税の負担が大きい場合は、早めの売却を検討するのも一つの方法です。
築古アパートの税金負担を軽減する方法
築古アパートを所有していると、毎年かかる固定資産税や売却時の譲渡所得税など、さまざまな税負担が発生します。
しかし、適切な節税対策を講じることで、税金の負担を大幅に軽減できる可能性があります。
本記事では、築古アパートに関する税金の負担を抑える方法や、最新の税制改正を活用した節税対策について詳しく解説します。
築古アパートを所有し続ける場合の節税対策
築古アパートを売却せずに所有し続ける場合、毎年かかる固定資産税や所得税をいかに抑えるかが重要になります。
ここでは、税負担を軽減するために活用できる節税策を紹介します。
(1) 固定資産税を抑えるための工夫
固定資産税は、不動産を所有している限り発生する税金ですが、いくつかの方法で負担を軽減できます。
固定資産税を抑える方法
・住宅用地の特例を適用する(固定資産税評価額の1/6に軽減)
・老朽化した建物を適正評価してもらう(再評価申請)
・耐震改修や省エネ改修を行い、減税措置を受ける
特に「住宅用地の特例」は、アパート経営を行っている場合に適用されることが多く、固定資産税を大幅に軽減できる可能性があります。
ポイント:市町村の固定資産税課に相談し、適用できる軽減措置があるか確認するのがおすすめです。
減価償却を活用して所得税を抑える
築古アパートを所有している場合、減価償却費を計上することで所得税の負担を軽減できます。
減価償却のメリット
・不動産所得から減価償却費を差し引くことで、課税対象額を減らせる
・築年数が古いほど、償却期間が短くなり、節税効果が高くなる
・中古物件は耐用年数が短縮されるため、短期間で減価償却が可能
特に、築22年以上の木造アパートの場合、法定耐用年数の短縮ルールを適用できるため、減価償却費を早期に計上できます。
築古アパートの法人化による節税
個人で築古アパートを所有している場合、法人化(会社設立)することで税負担を抑えられる可能性があります。
法人化によるメリット
・法人税の方が所得税よりも税率が低くなるケースが多い
・役員報酬として所得を分散し、税負担を軽減できる
・相続税対策としても有効(資産を法人に移転できる)
ただし、法人化には登記費用や運営コストがかかるため、家賃収入が一定額以上ある場合にメリットが大きいと言えます。
築古アパートを売却する際の税金負担を抑える方法
築古アパートを売却する際は、譲渡所得税や住民税が発生するため、適切な対策を取ることが重要です。
以下では、売却時の税金負担を軽減する具体的な方法を解説します。
売却時期を5年以上に調整する
不動産を売却した際の「譲渡所得税」は、所有期間によって税率が変わるため、売却時期を調整することで税負担を大幅に軽減できます。
譲渡所得税の税率
・所有期間5年以下(短期譲渡) → 税率39.63%(所得税30.63% + 住民税9%)
・所有期間5年以上(長期譲渡) → 税率20.315%(所得税15.315% + 住民税5%)
ポイント:売却を急がない場合、5年以上保有してから売却すると税金が半分以下に抑えられます。
3,000万円の特別控除を活用
マイホーム(自己居住用の住宅)を売却する場合、「3,000万円の特別控除」が適用され、売却益が3,000万円以下であれば譲渡所得税がかかりません。
ただし、賃貸用のアパートには適用されないため、売却前に適用条件を確認することが重要です。
相続した築古アパートの売却には「相続空き家の3,000万円控除」を活用
相続した築古アパートを売却する場合、「相続空き家の3,000万円特別控除」が適用されることがあります。
適用条件
・相続発生後3年以内に売却すること
・耐震基準を満たしているか、解体して更地にすること
・被相続人が一人暮らしであった住宅であること
この特例を活用すれば、売却益が3,000万円以下なら譲渡所得税が抑えらるため、大きな節税効果が期待できます。
築古アパートを売却するなら買取業者を活用
築古アパートの維持管理が難しくなり、税負担が大きくなる場合、早めに売却を検討するのも一つの方法です。
しかし、築年数が古いアパートは、一般市場での売却が難しいケースが多いため、買取業者を活用することでスムーズに処分できます。
メリット
・短期間で現金化できる(最短1週間)
・修繕不要、空室でも買取OK
・売却後の税負担を軽減できる
ポイント:築古アパートを相続した場合、相続後3年以内に売却すれば、相続税の負担も軽減可能です。
築古アパートに関する税金のよくあるQ&A
築古アパートを所有・売却する際の税金について、多くの方が疑問に思う点をまとめました。
所有するだけでも発生する税金が多いため、適切な節税対策を取ることが重要です。
Q1. 築古アパートの固定資産税は築年数が古くなると安くなりますか?
A. 一般的には安くなりますが、土地の評価額次第では負担が減らないこともあります。
固定資産税は、建物の評価額と土地の評価額の合計で決まります。
築年数が経過すると建物の評価額は下がりますが、土地の評価額は必ずしも下がるわけではないため、税額が大きく変わらないケースもあります。
固定資産税の負担を減らす方法
・住宅用地の軽減措置を活用する(課税標準を1/6に軽減)
・アパートの一部を用途変更し、特例措置を受ける
・更地にして売却し、税負担をなくす
ポイント:建物の評価額がゼロになっても、土地の税負担が残るため、所有コストを考慮することが重要です。
Q2. 築古アパートを売却した場合、税金を抑える方法はありますか?
A. 売却時期を調整することで、税負担を軽減できます。
築古アパートを売却すると、売却益に対して「譲渡所得税」が課されます。
ただし、所有期間が5年を超えると税率が低くなるため、長期譲渡所得の適用を受けるのが効果的です。
譲渡所得税の節税ポイント
・売却時期を5年以上に延ばして税率を下げる
・売却価格を調整し、譲渡所得を抑える
・リフォーム費用を経費計上し、譲渡所得を減らす
ポイント:売却時に発生する税金は事前に計算し、最適なタイミングを見極めることが大切です。
Q3. 築古アパートを相続した場合、相続税の負担はどうなりますか?
A. 相続税は「土地」「建物」「賃貸収入」の3つの評価で決まります。
築古アパートを相続した場合、評価額の計算方法によって相続税の負担が異なります。
例えば、賃貸物件の場合は、「貸家建付地」として評価額が下がるため、相続税が軽減されることもあります。
相続税を抑えるポイント
・築古アパートは建物評価額が低いため、相続税負担も軽減されることが多い
・土地は「貸家建付地評価」の適用で20〜30%程度評価が下がる
・相続税対策として「生前贈与」や「法人化」を活用する
ポイント:相続税対策を行うことで、税負担を軽減することが可能です。
Q4. 築古アパートを売らずに所有し続ける場合、どんな節税対策がありますか?
A. 減価償却費や必要経費を最大限活用するのがポイントです。
築古アパートの所有者は、家賃収入から経費を差し引いた金額に対して所得税が課せられます。
そのため、減価償却費や修繕費を上手に活用することで、課税所得を抑えることが可能です。
節税対策の具体例
・減価償却を活用し、課税所得を減らす
・修繕費を経費計上する(耐用年数に影響しない小規模な修繕が有効)
・アパートの一部を自宅として利用し、税額控除を受ける
ポイント:築古アパートの維持費用を適切に計上し、所得税の負担を抑えましょう。
まとめ
築古アパートを所有すると、固定資産税・都市計画税・事業税などの税金が毎年発生します。
また、売却時には譲渡所得税が発生するため、事前に税負担を把握し、節税対策を取ることが重要です。
築古アパートの税金対策で押さえておくべきポイント
・固定資産税の軽減措置を活用し、税額を抑える
・売却時は所有期間5年以上で税率を下げる
・減価償却を活用し、所得税の課税対象額を減らす
・相続税対策として「貸家建付地評価」を活用する
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