はじめに
築古アパートの所有者の中には、「借地権付きのアパートだから売れないのでは?」と不安を感じている方もいるかもしれません。
確かに、借地権のあるアパートは、所有権付きのアパートに比べると売却の難易度が上がることがあります。
しかし、借地権の種類や地主との交渉方法を理解し、適切な手続きを踏めば、築古アパートでも売却は可能です。
本記事では、築古アパートの借地に関する基礎知識から、売却時の注意点、スムーズに売却するための方法まで詳しく解説します。
借地に建つ築古アパートとは?
築古アパートが借地に建っている場合、土地の所有者は別に存在し、建物の所有者は土地を借りている状態になります。
そのため、売却を考える際は、借地権の種類や地主の意向を確認することが重要です。
借地権の種類
借地権には、大きく分けて「旧法借地権」、「普通借地権」、「定期借地権」の3種類があります。
どの借地権に該当するかによって、契約内容や更新の可否、売却のしやすさが異なります。
① 旧法借地権
・更新が可能な借地権
・地主の承諾があれば、売却も可能
・土地の価値の約60~80%の借地権価格がつくことが多い
旧法借地権は、契約の更新が前提となっているため、長期間借地を利用できるのが特徴です。
そのため、売却の際も買主が見つかりやすいですが、地主の承諾が必要になります。
②普通借地権
・1992年の法改正後に契約された一般的な借地権
・契約期間は最低30年(更新時は20年、その後は10年ごと)。
・契約が満了すると、基本的には更新が可能。
・建物の所有者は、借地権を第三者に譲渡することができる。
普通借地権は、借地契約の更新時に、更新料や条件変更が求められることがある。
地主の意向によっては、更新が難しくなるケースもある。
③定期借地権
・契約期間が満了すると、借地は返還しなければならない
・売却は難しく、建物を解体して返還するケースが多い
・借地権価格はほぼつかないことが多い
定期借地権の場合、契約期間が終了すると土地を返還しなければならないため、売却は難しい点があります。
そのため、売却を検討する場合は、地主と交渉して契約内容の変更が可能か相談する必要があります。
借地権付き築古アパートのメリット・デメリット
借地権付きの築古アパートには、メリットとデメリットがあります。
メリット
・土地を購入する必要がないため、初期投資が少なく済む
・土地の固定資産税がかからないため、維持費が抑えられる
・立地が良い物件が多く、借地の契約が更新できれば長期運用も可能
デメリット
・売却時に地主の承諾が必要な場合が多い
・銀行の融資を受けにくいため、購入希望者が限定される
・契約期間の終了後、建物の取り壊しを求められることがある
ポイント:
借地権付きの築古アパートを売却する際は、借地権の種類や地主の意向を事前に確認し、スムーズな手続きを進めることが重要です。
借地付き築古アパートの売却のポイント
借地権付きの築古アパートを売却する際は、通常の不動産売却と異なるポイントを押さえることが重要です。
ここでは、売却時に注意すべきポイントを紹介します。
地主の承諾を得る
借地権付きアパートの売却では、地主の承諾が必要になるケースが多いです。
特に、旧法借地権の場合は、売却(譲渡)するための「譲渡承諾料」を地主に支払う必要があることもあります。
・地主に売却の意向を事前に伝え、承諾を得る
・譲渡承諾料の相場を確認し、交渉する
・地主が買い取りに応じるケースもあるため、相談してみる
ポイント:
地主が売却に前向きでない場合は、借地権の買取業者に相談し、専門的な対応を依頼するのも一つの方法です。
借地権の価値を適正に評価する
借地権付きアパートの査定では、借地権の価値を適正に評価することが重要です。
査定額は以下のような要素で決まります。
・周辺の借地権付き物件の取引価格
・借地の契約内容(更新の可否・残存期間)
・地主との交渉がスムーズに進むかどうか
ポイント:
査定を依頼する際は、借地権の買取実績が豊富な業者を選ぶことで、適正な価格を提示してもらいやすくなります。
築古アパートの借地売却の手続き・トラブル回避の方法とは?
築古アパートを借地で所有している場合、売却を検討しても「本当に売れるのか?」と不安になる方も多いでしょう。
実際に、借地権付きアパートの売却には地主の承諾や特別な手続きが必要になるため、事前の準備が不可欠です。
本記事では、築古アパートの借地を売却する際に気をつけるべきポイントや手続きの流れ、地主との交渉をスムーズに進める方法を解説します。
借地付き築古アパートの売却に必要な手続きとは?
借地権付きの築古アパートは、一般的な所有権付きアパートの売却と異なる特別な手続きが必要です。
売却をスムーズに進めるためには、必要な手続きを事前に把握しておくことが重要です。
(1) 借地契約の内容を確認する
築古アパートの借地を売却する際、まず最初に借地契約の内容を確認することが大切です。
契約の種類によって、売却のしやすさや地主との交渉内容が変わってくるため、以下の項目を事前にチェックしておきましょう。
・借地権の種類(旧法借地権 or 定期借地権)
・契約期間と更新の可否
・地主の承諾が必要かどうか
・譲渡承諾料や更新料の有無
ポイント:特に、借地の契約期間が残り少ない場合は、更新の交渉をしてから売却を進める方がスムーズです。
(2) 地主に売却の承諾を得る
借地権付きアパートの売却には、地主の承諾が必要になることが一般的です。
売却を検討する前に、地主に相談し、事前に承諾を得ておくことが重要です。
・売却の意向を地主に伝え、承諾を得る
・譲渡承諾料の相場を確認し、交渉する
・地主が買い取る意思を持っているか確認する
ポイント:地主が売却を拒否する場合、借地非訟(しゃくちひしょう)と呼ばれる法的手続きを利用し、裁判所の許可を得る方法もあります。
(3) 借地権の査定を依頼する
借地権付きアパートの査定額は、一般の不動産とは異なる評価方法が適用されるため、借地権の買取実績が豊富な業者に依頼することが重要です。
査定額は、以下のポイントをもとに決まります。
・土地の市場価格(借地権割合を考慮)
・契約期間の残存年数と更新の可否
・建物の状態(老朽化の程度・修繕履歴)
・賃貸収益性(入居率・家賃相場)
ポイント:借地権付きアパートの査定を依頼する際は、一般の不動産会社だけでなく、借地権の専門業者にも相談し、複数の査定額を比較するのがベストです。
借地付き築古アパートの売却するポイント
借地権付きアパートの売却は、通常の不動産売却よりも手続きが煩雑になるため、スムーズに進めるための工夫が必要です。
ここでは、借地アパートを迅速かつ適正価格で売却するためのポイントを紹介します。
(1) 売却先を見極める
借地権付きのアパートは、購入希望者が限定されるため、売却先の選定が重要です。
・一般の個人投資家向け(収益物件として販売)
・不動産買取業者に売却(スピード重視)
・地主に直接売却(地主が買い取るケースもあり)
ポイント:売却スピードを重視する場合は、借地権付き物件の買取実績が豊富な業者に依頼するとスムーズに取引が進みます。
(2) 借地の契約を更新してから売却する
借地契約の残存期間が短いと、買主にとってリスクが大きくなるため、売却価格が下がる傾向にあります。
そのため、契約更新が可能な場合は、更新手続きを行ってから売却を進める方が有利です。
・契約更新の条件を地主に確認する
・更新料が発生する場合は、売却価格に反映させる
・更新後の契約内容を明確にし、買主にとってメリットを示す
ポイント:借地の契約を更新しておくことで、買主の安心感が増し、売却価格が向上する可能性があります。
(3) リフォームや賃貸対策を実施
築古アパートの場合、見た目の印象や収益性を改善することで、査定額をアップさせることが可能です。
・簡単なリフォームを実施し、見た目の印象を向上させる
・賃貸経営の収益性を高め、入居率を改善する
・Wi-Fi無料などの付加価値をつけ、入居者を増やす
ポイント:少額のリフォームでも、査定額が上がる可能性があるため、売却前にできる範囲で物件の改善を行いましょう。
借地付き築古アパートを売却する際の注意点
築古アパートの借地を売却する際は、トラブルを防ぐために以下のポイントを押さえておくことが重要です。
・地主との交渉を円滑に進める(事前相談が必須)
・契約書を確認し、譲渡承諾料や更新料の有無を把握する
・買取業者や専門家に相談し、スムーズに売却する方法を検討する
ポイント:借地権の売却は、通常の売却よりも手続きが複雑なため、専門知識のある業者に相談することが成功のカギとなります。
築古アパートの借地に関するよくあるQ&A
築古アパートの借地について、所有者の方がよく抱える疑問をまとめました。
借地権付きアパートの売却は、通常の所有権物件と異なる特別なルールがあるため、事前にしっかりと理解することが重要です。
ここでは、借地付き築古アパートに関するよくある質問とその解決策を紹介します。
Q1. 借地権付きの築古アパートは売却できますか?
A. はい、売却できますが、地主の承諾が必要です。
借地権付きの築古アパートは、所有権のあるアパートとは違い、土地の所有者(地主)の許可が必要になることがほとんどです。
特に、旧法借地権の場合は「譲渡承諾料」を支払うことで売却が可能になるケースが一般的です。
・まずは地主に売却の意向を伝え、承諾を得る
・譲渡承諾料の相場を確認し、交渉する
・地主が買い取る意思を持っているかどうか確認する
ポイント:地主が売却を拒否する場合、専門の買取業者に相談し、交渉を進めることも選択肢の一つです。
Q2. 借地権のアパートは、通常のアパートと比べて売却価格は安くなる?
A. 一般的に、借地権付き物件は所有権物件よりも売却価格が低くなります。
借地権付きアパートは、土地の所有権がないため、通常の所有権付きアパートと比べると査定額が低くなる傾向があります。
一般的に、借地権の価値は所有権の60%〜80%程度とされることが多いですが、以下の要因で変動します。
・借地権の種類(旧法借地権・定期借地権)
・借地契約の更新可否や残存期間
・立地や賃貸需要の高さ
ポイント:売却価格を少しでも高めるためには、借地契約の更新状況を整理し、買主にとってメリットがある形で交渉を進めることが重要です。
Q3. 借地権のアパートを売るとき、地主の承諾を得られなかったらどうなる?
A. 地主の承諾が得られなければ、基本的には売却できません。
借地権付きアパートを売却するには、通常地主の承諾が必要です。
しかし、地主が承諾しない場合でも、以下の方法で売却を進められる可能性があります。
・地主に「借地権を買い取ってもらう」交渉をする
・「借地非訟(しゃくちひしょう)」の手続きを行い、裁判所を通じて譲渡許可を得る
・専門の借地権買取業者に相談し、地主との交渉を依頼する
ポイント:借地非訟は法的手続きが必要なため、地主との交渉が難航する場合は、弁護士や借地権に詳しい専門家に相談するのがベストです。
Q4. 借地権の更新が近い場合、売却は難しくなる?
A. はい、契約更新が近づくと売却が難しくなることがあります。
借地権付きアパートの契約期間が残り少ない場合、買主にとってリスクが高くなるため、売却価格が下がる傾向にあります。
特に、定期借地権の場合は契約満了時に土地を返還しなければならないため、売却が難しくなります。
・契約更新が可能か、地主と事前に相談する
・更新料の支払いが発生する場合は、交渉して条件を明確にする
・契約更新後に売却することで、買主の安心感を高める
ポイント:契約更新前に売却を進める場合は、地主との関係を円滑にし、買主にとって安心できる契約条件を提示することが重要です。
Q5. 借地権付きアパートを高く売るためには?
A. 物件の収益性を高め、地主との交渉をスムーズに進めることが重要です。
借地権付きアパートは、買主にとってリスクがあるため、売却価格を最大化するためには以下の工夫が必要です。
・満室経営を目指し、収益性を向上させる
・借地契約の内容を整理し、契約更新の可否を明確にする
・地主の承諾を早めに取得し、スムーズに売却できる体制を整える
ポイント:買主が安心して購入できるよう、物件の魅力や借地契約の状況を明確にし、事前の準備を万全にしておくことが大切です。
まとめ
借地権付きの築古アパートは、売却時に特別な手続きが必要になるため、地主との関係や借地契約の状況を事前に確認することが重要です。
また、借地権の種類や契約内容によって、査定額や売却のしやすさが大きく変わるため、専門の買取業者に相談することでスムーズな売却が可能になります。
築古アパートの借地売却で押さえておくべきポイント
・借地権の種類(旧法借地権・定期借地権)を確認する
・地主の承諾を得るため、事前に交渉を行う
・契約更新が近い場合は、更新の可否を明確にする
・物件の収益性を高め、買主にとって魅力的な条件を整える
・借地権買取業者を活用し、スムーズに売却を進める
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