はじめに
築古アパートを相続すると、親から引き継ぐ不動産として資産価値があるように思われがちですが、実際には多くの問題を抱えるケースが少なくありません。
「修繕費が高額」「空室が増えて収益が悪化」「売却が難しい」といった悩みを持つ相続人も多く、適切な対策を講じないと、資産価値が下がり、相続後の負担が大きくなってしまいます。
築古アパートを相続した場合に、どのような選択肢があるのかを理解し、適切な対応を取ることが重要です。
本記事では、相続後に直面する主な課題と解決策について詳しく説明していきます。
築古アパートを相続した際の主な課題
築古アパートを相続すると、管理・税金・売却の問題など、さまざまな負担が発生します。
ここでは、相続後に多くの人が直面する課題について詳しく解説します。
管理と維持費の負担が大きい
築古アパートは、築年数の経過とともに老朽化が進み、修繕やリフォームが必要になることが多くなります。
特に、相続したアパートが遠方にある場合、管理の手間がかかり、維持するだけでも大変です。
主な管理・維持の負担
・建物の修繕費(屋根・外壁・配管など)
・共用部分の清掃・管理
・入居者対応(クレーム処理・家賃管理)
・固定資産税の支払い
解決策
・管理会社に委託し、管理負担を軽減する。
・修繕計画を立て、長期的に維持可能か判断する。
・収益性が低い場合は売却を検討する。
相続税・固定資産税の負担
築古アパートを相続すると、相続税や固定資産税などの税金の負担も発生します。
特に、相続税は相続発生後10ヶ月以内に納税する必要があり、現金の準備が必要になります。
相続税の計算方法
相続税は、「土地」と「建物」の評価額を基に計算されます。
・土地の評価額:路線価や公示地価を基準に決定
・建物の評価額:固定資産税評価額が基準となる
・負債の控除:住宅ローンなどがある場合は相続財産から差し引くことが可能
解決策
・相続税の支払いが困難な場合、早期に売却を検討する。
・税理士に相談し、節税対策を行う(小規模宅地等の特例などを活用)。
・相続税を分割払い(延納)できるか確認する。
収益性が低く、売却が難しい
築古アパートは、空室率が高くなると収益性が下がり、買主が見つかりにくくなる傾向があります。
築年数が経過したアパートは、金融機関の融資が付きにくくなるため、個人投資家よりも買取業者の方がスムーズに売却できる場合があります。
築古アパートが売れにくい理由
・建物が老朽化しており、買主がリフォーム費用を考慮する
・空室率が高く、収益性が低い
・立地条件が悪いと、買い手がつきにくい
解決策
・買取業者に相談し、現況のままで売却する。
・最低限のリフォームを行い、売却価格を上げる。
・賃貸管理を続け、収益物件として売却する。
共有名義の相続によるトラブル
相続財産として築古アパートを複数の相続人で共有名義として所有する場合、売却や管理の方針について意見が分かれることがあります。
例えば、一部の相続人が売却を希望しても、他の相続人が賃貸経営を続けたいと考えている場合、意見の対立が発生することがあります。
解決策
・共有名義のままではなく、遺産分割協議で単独所有にする。
・他の相続人の持分を買い取る。
・相続人全員で売却し、現金化して分配する。
・弁護士や不動産専門家を交え、解決策を検討する。
築古アパートを相続した際の具体的な対応策
築古アパートを相続した場合、「売却する」「賃貸経営を続ける」「別の活用方法を検討する」など、さまざまな選択肢があります。
ここでは、それぞれの対応策について詳しく解説し、どのような状況でどの選択肢が最適なのかを整理していきます。
築古アパートを売却する場合
築古アパートを売却することで、管理の負担や税金の支払いから解放されるメリットがあります。
相続後、すぐに現金化することで、相続税の支払いにも充てることが可能です。
(1) 売却のメリット
・相続税や固定資産税の支払いに充てることができる。
・管理の手間をなくし、精神的な負担が軽減される。
・老朽化した建物の修繕費を負担せずに済む。
(2) 売却の手順
築古アパートをスムーズに売却するためには、以下の手順を踏むことが重要です。
①物件の査定を受ける
複数の不動産会社や買取業者に査定を依頼し、市場価格を把握する。
買取専門業者に相談することで、スピーディーな売却が可能。
②売却方法を選択する
仲介業者を通じて一般市場で売却(高値で売れる可能性があるが、時間がかかる)
買取業者に売却(スピード重視、修繕不要)
③契約・引き渡し
売却先が決まったら、売買契約を締結。
必要書類(登記簿謄本、相続登記証明書など)を準備し、引き渡しを行う。
ポイント
できるだけ早く売却したい場合は、不動産買取業者への相談が有効。
買取業者であれば、最短1週間ぐらいで現金化することも可能です。
賃貸経営を継続する場合
築古アパートをそのまま運用し、家賃収入を得る選択肢もあります。
ただし、空室率の増加や修繕費の負担を考慮する必要があります。
(1) 継続するメリット
・毎月の家賃収入を得られるため、安定した収益源になる。
・将来的な売却時に高値で売れる可能性がある。
・相続税対策として、賃貸物件は評価額が下がるため、節税効果がある。
(2) 継続する場合のポイント
・賃貸管理会社に委託することで手間を減らす。
・空室対策を行い、満室稼働を目指す。
・築古物件向けのリフォームや設備投資を検討する。
ポイント
相続したアパートが駅近や都市部にある場合、賃貸経営を続けるメリットが大きい。
ただし、地方や郊外の物件で空室が多い場合は、売却を検討したほうがよい。
共有名義の問題を解決する
相続人が複数いる場合、築古アパートの管理や売却について意見が分かれることがあります。
この場合、円満な解決方法を見つけることが重要です。
(1) 共有名義の解決策
・相続人の1人が単独で取得し、他の相続人に代償金を支払う。
・共有名義のまま賃貸経営を続け、家賃収入を分配する。
・相続人全員で売却し、現金を分配する。
・共有持分のみを売却し、他の相続人に買い取ってもらう。
(2) 共有名義のままでは問題が発生する可能性
・売却の際に相続人全員の同意が必要。
・管理の負担が増え、意思決定が難しくなる。
・相続人が増えると、トラブルになりやすい。
ポイント
共有名義でのトラブルを避けるために、早めに遺産分割協議を行い、単独所有にするか売却することが重要。
相続税対策を行う
築古アパートを相続した場合、相続税をできるだけ抑える方法を検討することも重要です。
(1) 小規模宅地等の特例を活用
相続したアパートを相続人が継続して賃貸経営する場合、相続税評価額を最大50%減額できる特例があります。
適用条件
・亡くなった人が賃貸経営をしていたアパートであること。
・相続人が相続後も賃貸経営を継続すること。
(2) 延納・物納を活用
相続税の支払いが難しい場合、分割払い(延納)や、不動産を現物で納める物納の制度を利用することも可能です。
ポイント
築古アパートの相続税対策は複雑なため、税理士に相談しながら計画を立てることが重要。
築古アパートを相続した場合のリスクと回避策
築古アパートを相続することは、不動産資産を受け継ぐことを意味しますが、同時にリスクも伴います。
相続後にどのような問題が発生するのかを理解し、適切に対処することで、損失を最小限に抑えることができます。
本記事では、築古アパートの相続における主なリスクと、その回避策について詳しく解説します。
築古アパートの相続リスク
(1) 修繕コストの増大
築古アパートは老朽化が進んでいるため、相続後に修繕が必要になる可能性が高いです。
特に、屋根の防水処理や外壁の劣化、給排水管の老朽化などは、多額の修繕費がかかることがあります。
リスク回避策
・事前に建物診断(インスペクション)を受ける。
相続前に建物の状態を把握し、修繕が必要な部分を特定することで、予想外の出費を抑えることができます。
・修繕計画を立て、費用を見積もる。
すぐに売却するのか、賃貸を続けるのかを決めた上で、必要な修繕範囲を限定し、コストを抑える。
(2) 空室リスクと賃料の下落
築古アパートは、築年数が経過するほど入居者が減りやすくなります。
周辺の新築アパートとの競争が激化し、空室が増え、結果として家賃の下落につながることが懸念されます。
リスク回避策
・賃貸市場を分析し、需要のある層にターゲットを変更する。
例えば、ファミリー向けだった物件を単身者向けに変更する、シェアハウス化するなどの戦略が考えられます。
・家賃を柔軟に設定し、早期の入居を促す。
競争が激しいエリアでは、家賃を適正価格に設定し、フリーレント(初月家賃無料)などの特典を付けることで、空室率を下げることができます。
(3) 税金の負担が大きい
築古アパートを相続すると、相続税・固定資産税・所得税など、さまざまな税金の負担が発生します。
特に、相続税の納付期限は10ヶ月以内のため、資金準備が必要になります。
リスク回避策
・相続税の軽減制度を活用する。
小規模宅地等の特例を適用することで、相続税評価額を50%削減することが可能です。
・早めに売却し、相続税の支払い資金を確保する。
相続後すぐに売却することで、納税のための現金を確保し、税負担を軽減できます。
築古アパートの相続後にできる活用法
(1) 建て替えによる資産価値の向上
築古アパートが老朽化している場合、建て替えを行うことで資産価値を向上させることができます。
特に、相続した土地が駅近や都市部にある場合、新築アパートやマンションを建設し、賃貸経営を続ける選択肢があります。
メリット
・新築物件として家賃収入が増加する。
・耐震基準を満たすことで、将来的なリスクを軽減できる。
・資産価値が上がり、売却時に高値で売れる可能性がある。
デメリット
・建築費用が高額になる。
・工事期間中は家賃収入がゼロになる。
解決策
金融機関の融資を活用し、事業計画を立てることが重要です。
(2) 土地活用として駐車場や倉庫に転用
築古アパートの立地によっては、アパートとして活用するよりも、駐車場や倉庫、コインランドリーなどの施設に転用した方が収益性が高くなるケースもあります。
メリット
・管理が不要になり、固定収益が期待できる。
・建物の修繕費が不要になる。
・地域のニーズに合わせた活用が可能。
デメリット
・初期投資が必要(アスファルト舗装や設備設置費など)。
・立地によっては需要が少ない可能性がある。
解決策
地域のニーズを事前にリサーチし、最適な活用方法を検討する。
(3) 等価交換でデベロッパーと共同事業
築古アパートの土地を提供し、デベロッパーと共同で新築マンションを建設し、一部の部屋を所有する「等価交換方式」も選択肢の一つです。
メリット
・自己資金なしで新築物件を取得できる。
・建築コストを抑えつつ、資産を継続保有できる。
・デベロッパーのノウハウを活用できる。
デメリット
・所有する物件の割合が減る可能性がある。
・建築完了までに時間がかかる。
解決策
信頼できるデベロッパーを選び、契約内容を慎重に検討することが重要。
早期売却のメリットと注意点
築古アパートの相続後に、すぐに売却することで得られるメリットも多くあります。
(1) 売却のメリット
・維持管理の手間がなくなる。
・相続税や固定資産税の負担を軽減できる。
・早期に現金化し、資産運用に回せる。
(2) 売却の注意点
・適正価格で売却するために、複数の業者に査定を依頼する。
・売却時に発生する譲渡所得税の計算を事前に行う。
・物件の状態に応じて、一般市場で売るか買取業者に売るかを判断する。
→ 築古アパート専門の買取業者に相談することで、スムーズな売却が可能。
築古アパートの相続に関するよくあるQ&A
築古アパートを相続した際に、よくある質問をQ&A形式でまとめました。
相続後の対応について、具体的な疑問を解決していきます。
Q1. 築古アパートを相続したら、すぐに売却しないといけない?
A. いいえ、必ずしもすぐに売却する必要はありません。
ただし、相続税の支払い期限は相続発生から10ヶ月以内のため、相続税の負担が大きい場合は早めの売却を検討したほうが良いでしょう。
賃貸経営を続ける場合は、家賃収入を活用しながら維持管理が可能かどうかを慎重に判断することが重要です。
Q2. 築古アパートを相続したが、遠方に住んでいて管理ができない。どうすればいい?
A. 賃貸管理会社に委託するか、売却を検討するのが有効です。
管理を自分で行うのが難しい場合は、賃貸管理会社に委託することで、入居者対応や修繕の手続きを代行してもらうことができます。
ただし、管理費用がかかるため、収益性を考慮しながら、売却するか継続するかを判断しましょう。
Q3. 共有名義の築古アパートを相続したが、他の相続人と意見が合わない。どうすればいい?
A. 遺産分割協議を行い、合意できる方法を探しましょう。
共有名義のままでは意思決定が難しくなるため、相続人の一人が他の持分を買い取る、または全員で売却することを検討するのが理想的です。
話し合いが難航する場合は、不動産に強い弁護士や専門家に相談することをおすすめします。
Q4. 築古アパートの売却にかかる税金は?
A. 売却益が出た場合、「譲渡所得税」が発生します。
所有期間によって税率が異なり、5年超の所有であれば20.315%(所得税15.315%+住民税5%)の税率が適用されます。
また、売却時の諸費用(仲介手数料やリフォーム費用など)を差し引くことで、課税対象額を抑えることができます。
Q5. 築古アパートが売れにくい場合はどうすればいい?
A. 買取業者に相談するのが有効な選択肢です。
築年数が古いアパートは、一般市場での売却が難しいことがあります。
その場合、不動産買取業者に相談することで、短期間での売却が可能になります。
Zen株式会社では、築古アパートを最短1週間で買取することも可能です。
まとめ
築古アパートを相続すると、維持管理・税金・売却の判断など、さまざまな課題が発生します。
本記事では、築古アパートを相続した際に考えるべきポイントと具体的な対応策を解説しました。
築古アパートを相続した際の主な課題
・管理と維持費の負担が大きい(修繕費や入居者対応が必要)
・相続税・固定資産税の負担が発生する
・収益性が低く、売却が難しい・共有名義のトラブルが発生しやすい
築古アパートを相続した後の対応策
・売却して現金化する(早期売却で相続税対策)
・賃貸経営を続けて家賃収入を得る
・管理会社に委託し、手間を減らす
・共有名義の整理を行い、単独所有にする
・相続税対策を行い、節税する
築古アパートの相続は、資産としてのメリットもある一方で、管理や税金の負担が大きくなるケースが多いため、早めに出口戦略を検討することが重要です。
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