はじめに
築古アパートを相続した際、共有名義(共同名義)になっているケースが多く、売却を考えても単独で決断できないことがあります。
共有持分とは、不動産の所有権を複数人で分けて持つ形態のことで、共有者全員の合意がないと売却が難しくなるのが特徴です。
特に築古アパートの場合、建物の老朽化や空室リスク、修繕費用の負担などが増大するため、できるだけ早めに適切な対応を取ることが重要です。本記事では、築古アパートの共有持分について詳しく解説し、売却方法や注意点を紹介します。
築古アパートの共有持分とは?
築古アパートを複数人で所有する「共有持分」とは、法律的にどのような仕組みになっているのでしょうか?
ここでは、共有持分の基本を解説します。
(1) 共有持分とは?
共有持分とは、一つの不動産を複数人で所有する権利のことを指します。
たとえば、親が亡くなり、兄弟3人で相続した築古アパートがある場合、それぞれが持分を持つことになります。
共有持分の例
・兄:持分50%
・妹:持分30%
・弟:持分20%
このように、持分比率に応じて所有権を分けることになります。
(2) 共有持分の問題点
築古アパートの共有持分には、以下のような問題点があります。
・単独では自由に売却できない
・修繕や建替えの判断が共有者全員の合意が必要
・賃貸収入の分配が不公平になることがある
・相続が発生するとさらに複雑化する
特に、共有者同士の意見が合わないと、売却や管理の決定が進まず、トラブルの原因になることが多いです。
築古アパートの共有持分を売却する方法
築古アパートの共有持分を売却したい場合、通常の不動産売却とは異なる特別な手続きが必要になります。
ここでは、共有持分の売却方法と、それぞれのメリット・デメリットを詳しく解説します。
(1) 共有者全員でアパートを売却する
最もスムーズに売却できる方法は、共有者全員の合意を得て、築古アパート全体を売却することです。
不動産を一括で売却できるため、一般の不動産市場で買主を探しやすく、高値での売却が期待できます。
メリット
・市場価格に近い価格で売却できる
・買主が見つかりやすい
・売却後のトラブルが少ない
デメリット
・共有者全員の同意が必要
・売却までに時間がかかる可能性がある
ポイント
共有者との話し合いを早めに進め、合意形成を図ることが重要です。
(2) 自分の持分だけを売却する
共有者全員の合意が得られない場合、自分の持分のみを売却することも可能です。
ただし、一般市場では共有持分のみを購入する人は少ないため、専門の買取業者に売却するのが現実的な方法となります。
メリット
・他の共有者の同意が不要で、単独で売却できる
・早期売却が可能(買取業者を利用すればスムーズ)
・共有関係から抜け出せる
デメリット
・市場価格よりも売却価格が低くなる
・売却後、買主(持分購入者)と他の共有者の関係が悪化することがある
ポイント
共有者との話し合いが難しい場合、持分のみを売却する選択肢を検討するとよいでしょう。
(3) 共有者に持分を買い取ってもらう
共有者同士で話し合い、自分の持分を他の共有者に買い取ってもらう方法もあります。
共有者がアパートを管理・運用する意向がある場合は、有効な売却方法となります。
メリット
・市場で売るよりも高値で売却できる可能性がある
・第三者が関与しないため、トラブルが少ない
・共有関係を解消できる
デメリット
・共有者が資金を用意できない場合、成立しない
・価格交渉が難航することがある
ポイント
共有者との信頼関係がある場合、円満に解決しやすい方法です。
(4) 共有物分割請求を行う
共有者との話し合いがまとまらない場合、裁判所に「共有物分割請求」を申し立て、強制的に不動産を分割する方法もあります。
共有物分割の方法
・現物分割:不動産を物理的に分ける(ただし、アパートの場合は非現実的)
・代償分割:他の共有者が買い取り、代償金を支払う
・換価分割:裁判所の判断で売却し、売却代金を分配する
メリット
・共有者の同意がなくても手続きを進められる
・最終的に不動産を現金化できる
デメリット
・裁判費用や弁護士費用がかかる
・裁判に時間がかかる(半年~数年)
・強制売却となるため、市場価格より安くなる可能性がある
ポイント
最終手段として検討するべき方法ですが、早めに専門家に相談することが重要です。
築古アパートの共有持分に関する注意点と解決策
築古アパートの共有持分を所有している場合、他の共有者との関係性や意思決定の難しさから、スムーズに売却や管理ができないケースが多いです。
また、共有持分をどう扱うかによって、資産価値や収益性に大きな影響を与える可能性があります。
本記事では、築古アパートの共有持分を売却する際の具体的な手順、リスク、成功事例などを詳しく解説します。
築古アパートの共有持分を売却する具体的な方法
(1) 他の共有者に買取を提案する
共有持分を売却する際、最もスムーズな方法は他の共有者に持分を買い取ってもらうことです。
共有者同士での売却なら、第三者との交渉が不要になり、トラブルを回避できる可能性が高くなります。
・所有割合が多い共有者に売却を持ちかける
・管理に積極的な共有者と話し合い、交渉を進める
・弁護士や不動産会社を仲介し、適正な価格で売却する
ポイント
共有者間での合意が得られない場合、次のステップとして第三者への売却を検討する必要があります。
(2) 共有持分を不動産買取業者に売却する
他の共有者が買い取ってくれない場合、共有持分を専門の不動産買取業者に売却するのも有効な選択肢です。
買取業者なら、面倒な交渉を代行し、迅速に現金化できるメリットがあります。
・共有持分を専門に扱う買取業者に査定を依頼する
・市場価値より低めになる可能性があるため、適正価格を調査する
・売却後の共有持分の影響を考慮し、契約内容を慎重に確認する
ポイント
共有持分を売却すると、他の共有者との関係性に影響が出る可能性があるため、事前に共有者に説明するのが望ましいです。
(3) 共有持分を分割して単独名義にする
共有持分を解消する方法として、不動産を分筆し、単独名義に変更することも可能です。
ただし、築古アパートの場合、物理的に分筆が難しいことが多いため、弁護士や不動産専門家と相談しながら進める必要があります。
・建物の構造上、分割が可能かどうかを調査する
・共有者全員の合意を得て、持分割合に応じて分筆する
・分筆後、それぞれの単独名義で売却や賃貸運用を行う
ポイント
共有者が合意しない場合、分筆が難しくなるため、売却と並行して検討するのが望ましいです。
共有持分の売却リスクと注意点
築古アパートの共有持分を売却する際、いくつかのリスクや注意点があります。
以下のポイントを押さえておくことで、トラブルを回避しながらスムーズに売却を進めることが可能です。
(1) 共有持分だけでは売却価格が低くなる
・不動産全体ではなく、持分のみの売却となるため、価格が低くなる傾向がある
・買取業者が買い取る場合、市場価格より20~30%程度安くなる可能性がある
・売却後に他の共有者とのトラブルが発生することも考えられる
対策
共有持分の売却前に、他の共有者との話し合いを十分に行い、可能なら全体売却を視野に入れるのが望ましいです。
(2) 共有者の合意なしに売却すると、関係が悪化する
・売却した共有持分が第三者の手に渡ると、他の共有者との関係が悪化することがある
・新しい共有者が不動産の管理方針を変更する可能性がある
・最悪の場合、共有状態が原因で訴訟に発展することもある
対策
売却前に共有者へ十分な説明を行い、トラブルを未然に防ぐ努力をすることが大切です。
築古アパートの共有持分売却の事例
(1) 共有者間で持分売却を行い、スムーズに問題解決
Aさんは、築40年のアパートの共有持分を所有していましたが、管理が難しく売却を検討していました。
他の共有者も売却を検討していたため、持分を買い取ってもらう形で円満に売却が成立したケース。
・共有者間で早めに話し合いを行い、スムーズに交渉を進めた
・市場価格に近い適正価格で売却し、損失を最小限に抑えた
・共有者全員が納得し、トラブルなく売却が完了
ポイント
共有者同士で合意が取れれば、市場価格に近い価格で売却できる可能性が高くなるため、早めの相談が重要です。
(2) 共有持分買取業者に売却し、早期に現金化
Bさんは、他の共有者との話し合いがまとまらず、売却のタイミングが難航していました。
そこで、共有持分買取業者に売却し、短期間で現金化する方法を選択しました。
・専門業者に依頼することで、数週間で売却が完了
・価格は市場価格より低めだったが、早期に資金化できた
・売却後のトラブルもなく、スムーズに手続きを完了
ポイント
共有者間で合意が難しい場合は、専門の買取業者を活用することで、短期間で売却できるケースもあります。
築古アパートの共有持分の売却に関するよくあるQ&A
築古アパートの共有持分を売却する際、オーナーの方から寄せられるよくある質問とその回答を紹介します。
スムーズな売却のために、事前に疑問を解消しておきましょう。
Q1. 共有者の同意なしに持分を売却できますか?
A. はい、共有持分は単独で売却できます。
ただし、売却できるのは自分が持っている「持分のみ」であり、アパート全体を売却できるわけではありません。
また、共有者にとっては、知らない第三者が新たな共有者になる可能性があるため、売却後のトラブルに発展することもあります。
そのため、できる限り共有者と話し合い、合意のもとで売却するのが望ましいです。
Q2. 共有持分の売却価格はどう決まる?
A. 共有持分の買取価格は、市場価格の70%以下になることが一般的です。
通常の不動産売却と異なり、共有持分のみの売却は買い手が少なく、買取価格が市場価格よりも低くなる傾向があります。
また、以下の要素によって価格が変動します。
共有持分の買取価格に影響する要素
・アパート全体の市場価値
・共有者との関係(売却後のトラブルリスク)
・収益性(家賃収入が安定しているか)
・他の共有者が買取に応じるかどうか
ポイント
高値で売却したい場合は、まず共有者に買い取りを打診するのが最善策です。
Q3. 共有持分を買取業者に売るメリットは?
A. 買取業者に売却することで、短期間で現金化できるメリットがあります。
共有持分を個人で売却する場合、買い手を見つけるのが難しく、長期間売れ残ることもあります。
一方、買取業者なら、最短1週間での売却が可能で、手続きもスムーズに進みます。
買取業者を利用するメリット
・売却までの時間が短い(最短1週間)
・共有者の合意が不要で単独で売却可能
・契約不適合責任(旧瑕疵担保責任)を免除できる
・物件の状態が悪くても買取可能
ポイント
「すぐに現金化したい」「共有者と話し合いが難しい」場合は、買取業者の利用が最適です。
Q4. 共有持分の売却に必要な書類は?
A. 以下の書類を準備すると、スムーズに売却できます。
必要な書類
・登記簿謄本(全部事項証明書)
・固定資産税評価証明書
・共有者全員の持分割合が記載された書類
・本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカードなど)
・収益物件の場合は、賃貸契約書や収支報告書
ポイント
事前に書類を揃えておくことで、売却手続きをスムーズに進められます。
Q5. 共有者とトラブルになった場合の対処法は?
A. 共有者との話し合いが難しい場合、弁護士や専門家に相談するのが最適です。
共有者の中には、売却に反対する人や、話し合いに応じない人もいるかもしれません。
このような場合、共有物分割請求の手続きを検討することも可能です。
トラブルを回避する方法
・まずは共有者に買い取りを打診する
・話し合いが難しい場合は、専門家(弁護士・不動産会社)に相談する
・法的手続きを取る(共有物分割請求を検討する)
ポイント
できる限り話し合いで解決するのが理想ですが、解決しない場合は法的手段も視野に入れるべきです。
まとめ
築古アパートの共有持分を所有していると、自由に売却できない・管理がしにくい・共有者との意見が合わないなど、さまざまな問題が発生することがあります。
特に、築年数が古くなるほど資産価値が下がり、修繕負担が増えるため、早めに売却を検討することが重要です。
共有持分の売却のポイント
・共有者と話し合い、合意のもとで売却するのが理想
・単独で売却する場合は、買取業者を活用するとスムーズ
・共有持分の買取価格は市場価格より低くなるため、相場を理解しておく
・トラブルになりそうな場合は、専門家(弁護士・不動産会社)に相談する
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