空き家を贈与・無償譲渡する方法とは?税金・手続き・注意点まで徹底解説

はじめに

空き家を相続したけれど、自分で使う予定もなく、管理や固定資産税の負担ばかりが増える。
そんなとき「空き家を他人に無償で譲れないか?」「子どもや親族に贈与できないか?」と考える方は少なくありません。
特に売却が難しい地方や老朽化が進んだ空き家では、「ただでもいいから手放したい」という声が増えています。

近年、「空き家 贈与」「空き家 無償譲渡」などの検索数が伸びているのもその証拠です。
しかし、贈与や無償譲渡は「お金を受け取らない=簡単」というわけではありません。
登記・契約・税務など、しっかりとした手続きを踏まなければ、後々大きなトラブルになるリスクもあるのです。

この記事では、空き家を無償で譲る方法、贈与契約の流れ、贈与税や登録免許税などの税金問題、そして注意すべき法的・実務的なポイントを徹底的に解説していきます。
空き家の「処分」に悩むすべての方へ、売却以外の選択肢として知っておくべき知識を提供いたします。

空き家を「贈与」や「無償譲渡」する方法とは?

空き家の贈与・無償譲渡とは、「対価を受け取らずに不動産の所有権を他人に移す」ことを指します。
代表的なのは次のようなケースです。
・親が子へ空き家を譲る(生前贈与)
・空き家を知人や親族へタダで譲る(無償譲渡)
・NPO法人や自治体などへ寄付する(公的活用)

いずれも、名義変更=所有権移転登記が必要となり、「契約書の作成」「登記手続き」「税務申告」が不可欠です。

【贈与契約の流れ(親族間の場合)】
①贈与契約書を作成(必ず書面で作ることが重要)
②登記簿謄本・評価証明書・印鑑証明書などを用意
③法務局で所有権移転登記を実施(登録免許税が必要)
④翌年に贈与税の申告(必要に応じて)

贈与・無償譲渡は「口約束だけ」「登記をしないまま」で終わらせてしまうと、将来のトラブルの火種になります。
特に親族間では「将来的に相続トラブルになった」「名義変更がされておらず、税金が二重にかかった」といった問題も報告されています。

したがって、贈与は「無料でできる譲渡」ではなく、法律上の手続きと税務処理が必要な正式な取引と認識する必要があります。

贈与と無償譲渡にかかる税金とは?

「お金を受け取っていないんだから税金もかからないはず」と思いがちですが、空き家を贈与・無償譲渡する場合でも、税金はしっかり発生します。

1. 贈与税
贈与を受けた側(受贈者)には、贈与税が課されます。
評価額が基礎控除(110万円)を超える場合、超過分に対して税率が適用されます。

たとえば、空き家の評価額が400万円だった場合
・400万円-110万円=290万円が課税対象
・税率は10%~15%前後(申告者の条件による)
・贈与税額=約20~30万円程度が想定されます

2. 登録免許税
登記変更を行う際には、不動産評価額に対して2%の登録免許税が課税されます。
不動産の売買時は1.5%ですが、贈与は2%と割高になります。

3. 不動産取得税(都道府県税)
無償譲渡でも、「無償で不動産を取得した」とみなされれば、不動産取得税(原則4%)が課されます。
こちらは都道府県ごとに異なるため、事前に県税事務所で確認しておくことが重要です。

4. その他の費用
司法書士報酬、契約書の印紙代、登記簿取得費用など、手続き関連費用も含めて5~10万円前後の出費は想定しておきましょう。

空き家を寄付・無償譲渡する相手はどう選ぶ?

空き家を無償で譲りたいと考えた場合、誰に渡すのかによって手続きやリスクは大きく異なります。
譲渡先には主に以下のようなパターンがあります。

① 親族・子どもへの譲渡
もっとも多いのが、親から子へ、あるいは兄弟間など親族間での無償譲渡です。
家族間での譲渡は心理的ハードルが低く、財産の整理にもなりますが、将来の相続トラブルを防ぐためにも「書面での贈与契約書の作成」と「登記名義の変更」は必須です。

② 友人・知人への無償譲渡
知人から頼まれて譲る場合もありますが、後々の責任や管理義務の問題があるため、慎重に進める必要があります。
譲渡後の固定資産税や修繕トラブルが起きたときのためにも、契約書に「状態についての同意」などを明記しましょう。

③ 自治体・法人・NPOなどへの寄付
「使い道がないから寄付したい」と考える人もいますが、現実は簡単ではありません。
老朽化した空き家や管理負担の大きい物件を自治体が受け取ることは稀です。
NPOや地域団体でも、資産管理の手間や費用の問題で受け入れを断られることも多いのが実情です。

譲渡先が決まっても、必ず法務局で名義変更を行わなければ法的に所有権は移りません。
「誰に譲るのか」と同時に、「どう正式な手続きを踏むのか」が成功のカギになります。

贈与や無償譲渡ができない空き家の特徴とは

空き家の中には、いくら「無償でもいいから譲りたい」と考えても、実際には引き取り手が見つからない物件も少なくありません。
以下は、贈与や無償譲渡が難しい空き家の主な特徴です。

① 再建築不可の土地
建築基準法上の道路に接していない土地など、再建築ができない物件は活用が難しく、譲渡先が見つかりにくくなります。

② 建物が老朽化していて倒壊の危険がある
屋根の崩落や基礎の損傷など、安全上の問題がある空き家は、譲渡後の維持費・解体費の負担が大きいため、誰も引き取りたがりません。

③ 土地の権利関係が複雑
共有名義・借地権付き・相続登記未了など、法的な整理ができていない空き家は、所有権の移転が困難なため譲渡しづらくなります。

④ 固定資産税や維持費が高い立地
地方の広大な土地や山林に囲まれた家など、所有するだけで高額な維持コストがかかる空き家は、むしろ「負動産」として敬遠されます。

このような空き家は、贈与ではなく、専門業者への売却や買取、もしくは行政との協議による解体・整理といった別の選択肢を検討した方が現実的です。

譲渡するより売却した方が得なケースとは?

一見「無料で譲るほうが簡単そう」と思える贈与や無償譲渡ですが、実は売却したほうが金銭的・手続き的に得になるケースも少なくありません。

① 建物に価値がなくても、土地に需要がある場合
駅に近い・再建築可能・小さな住宅用地など、建物は古くても土地の価値が高いエリアであれば、意外と高値で売却できることもあります。
買主は建物を解体して新築を建てたいと考えていることが多いため、リフォーム不要の土地として売れるのです。

② 解体・名義変更・贈与税のコストを考慮した場合
贈与や無償譲渡には、贈与税・登録免許税・不動産取得税・司法書士報酬など、トータルで数十万円の出費が発生します。
その上、将来的なクレームや契約トラブルのリスクもあります。

一方で、専門業者への売却であれば、契約も明確でスピーディー、税金の優遇(空き家3,000万円特別控除など)も受けられるため、手元にお金を残すことができます。

③ 引き取り手がいない場合は買取業者へ相談
「譲る相手がいない」「子どもも使う予定がない」という場合は、空き家専門の不動産会社へ売却相談するのが最も現実的な選択肢です。

「譲る」ことが目的ではなく、「所有の負担を解消したい」というのが本音であれば、売却によってスッキリ手放せる方が、長期的に見て安心です。

空き家を贈与・無償譲渡する前にやっておくべき準備と注意点

空き家を無償で譲る、あるいは家族に贈与するという選択は、所有者にとって大きな負担軽減となる一方で、相手側にとっては「見えないリスク」を抱えることにもなります。
贈与や譲渡を円滑に行い、後々のトラブルを防ぐためには、事前の準備が不可欠です。
ここでは、譲渡前に必ず確認・整理しておきたいポイントを詳しく解説します。

① 所有権の登記内容と相続登記の有無を確認する
まず最初に確認すべきは、「その空き家が自分の名義になっているかどうか」です。
もし被相続人(親など)の名義のまま放置されている場合は、「相続登記」が必要になります。
相続登記が未了のままでは、贈与も譲渡も不可能です。

2024年4月からは相続登記の義務化がスタートし、相続後3年以内の登記申請が義務付けられました。
違反した場合は10万円以下の過料が科されることもあるため、未登記状態のまま放置しないよう注意が必要です。

② 建物の状態・土地の用途・再建築可否を事前に調査する
贈与や譲渡を検討する際、受け取る側が気にするのは「その不動産を活用できるかどうか」です。
たとえ無償でも、再建築不可や用途地域の制限がある土地は活用が難しく、維持費ばかりかかってしまう可能性があります。

・接道義務(建築基準法上の道路に2m以上接しているか)
・都市計画区域・用途地域の確認
・土壌汚染や災害リスクの有無
・建物の築年数・修繕歴・雨漏りやシロアリの有無

これらの情報は、法務局の登記簿、役所の都市計画課、建築課、または不動産会社に相談することで調べることが可能です。

相手に物件を紹介する前に、活用の可否や注意点を説明できるよう準備しておくと、信頼性も高まり譲渡の成立がスムーズになります。

③ 相手の「本音」をきちんと確認する
無償譲渡や贈与を申し出たとき、相手が「遠慮して断れない」こともあります。
特に親子間や兄弟間では、「いらないけど断りにくい」と考える人も少なくありません。

一度贈与して名義変更した後に、「やっぱりいらなかった」「税金が重くて後悔した」という声は現場でもよく聞きます。
贈与や譲渡は、一度登記されてしまえば簡単には戻せません。
そのため、次の点を事前にきちんと話し合いましょう。

・固定資産税は誰が支払うか?
・管理や草刈り、近隣対応は誰が行うか?
・修繕費用や解体費用の負担は?
・将来的に売却する予定はあるのか?

感情的な話ではなく、「不動産の管理責任」という観点から冷静に確認することが、両者の関係性を壊さないコツです。

④ 贈与契約書の作成と公的証拠の確保を
空き家の贈与や無償譲渡を行う際、口約束だけで済ませてしまうのは絶対に避けましょう。
後から「そんな約束していない」「私は譲られた覚えがない」と言われるトラブルが実際に多発しています。

法的に有効な贈与とするためには、以下の準備が必要です。

・贈与契約書(双方署名・捺印)
・契約日と物件の所在、登記簿番号などを明記
・贈与後に必ず法務局で名義変更登記を行う
・贈与税が発生する場合は税務署へ申告を行う

贈与契約書には印紙税(不動産の場合は通常1,000円)がかかる場合があります。
さらに登記は司法書士に依頼することで、手続きの確実性を高められます。

⑤ 受け取った側が「後悔」しないための配慮も重要
空き家の譲渡や贈与がスムーズに終わったとしても、受け取った相手が「結局、損だった」と感じるようでは意味がありません。
贈与者側としても、後から相手の不満やトラブルを耳にすれば後悔が残ります。

以下のような配慮があると、譲渡後も良好な関係を保つことができます。
・固定資産税を最初の数年間はこちらで負担する
・簡易な修繕や荷物の撤去を済ませておく
・不要な家財やゴミは引き取り前に処分しておく
・今後の活用方法について一緒に考える場を設ける

不動産は「権利」と「責任」がセットになっているため、譲る側がその重みを理解したうえで対応することが大切です。

空き家を贈与・無償譲渡に関するよくあるQ&A

Q1. 空き家を贈与すれば固定資産税の支払い義務もなくなりますか?
はい。登記上の名義変更が完了すれば、次年度からは新しい所有者に固定資産税が課税されます。
ただし、年度の途中で贈与しても、その年の固定資産税は旧所有者(贈与者)に請求される場合が多いため、事前に分担を話し合っておきましょう。

Q2. 空き家の贈与にはどんな書類が必要ですか?
贈与契約書、登記済権利証または登記識別情報、固定資産税評価証明書、印鑑証明書、本人確認書類などが必要です。
登記を司法書士に依頼する場合は、これらを事前にそろえておくとスムーズです。

Q3. 自治体に空き家を寄付することはできますか?
一部の自治体では「空き家バンク」を通じて受け入れや仲介が行われていますが、物件の状態や立地条件によっては受け入れが難しい場合もあります。
まずは自治体に直接相談し、譲渡の可能性や条件を確認してみることが大切です。

Q4. 贈与と売却ではどちらが得なのですか?
贈与は税金や登記費用が自己負担となるため、譲る側にとっては出費が多くなりがちです。
一方で売却なら、買い手が費用を負担し、さらに譲渡所得控除などの特例も使えるため、手元にお金が残る可能性があります。
費用対効果で見れば「売却」のほうが有利なケースが多いです。

まとめ

空き家を無償で譲る、あるいは家族に贈与するという選択は、一見簡単そうに見えて、実際には多くの手続きや税務対応、法的な注意点が伴います。
「空き家を手放したい」「使わない不動産を整理したい」という気持ちだけで進めると、あとで大きなトラブルに発展することもあります。

特に注意すべきは、贈与税や登録免許税などのコスト負担、登記の義務、そして譲り受ける側の合意です。
さらに、相手が親族であっても、口約束や未登記状態のまま贈与してしまうと、相続トラブルや近隣クレームの火種になることも少なくありません。

一方で、「無償で譲るより、買い取りを依頼した方が現実的にスムーズだった」「結局は売却した方がお金も手間もかからなかった」と感じる方も多いです。
手放すことが目的であれば、贈与・譲渡・売却という複数の選択肢を比べて、自分にとってベストな方法を選ぶことが大切です。

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