空き家を放置するリスクとは?維持費・トラブル・法的責任まで徹底解説

はじめに

相続した実家や使わなくなった家がそのままになっている。
時間が経つにつれて、空き家の存在が気にはなるけれど「急ぎじゃない」「いつか片付けよう」と後回しにしてしまう方は少なくありません。
しかし、空き家を放置することは、想像以上に大きなリスクを伴います。
老朽化が進めば修繕費や解体費がかさみ、雑草や害虫が発生すれば近隣とのトラブルに。
また、放火や不法侵入といった犯罪リスクも高まり、最悪の場合は所有者に法的責任が問われるケースもあるのです。
空き家問題はもはや社会課題とも言われ、全国で増加の一途をたどっています。
実際に「空き家リスク」に関する情報を把握せずに放置したことで、後から数百万円単位の出費や、管理放棄による訴訟に発展した例もあります。
この記事では、空き家を放置することで生じるリスクを多角的に解説し、「放置=損失」の現実と、その回避策について詳しくご紹介します。

空き家は所有しているだけでコストがかかる

空き家を放置していても、所有している限り毎年発生するのが「固定資産税」と「都市計画税」です。
これらは住んでいなくても課税されるため、空き家=維持費がかかる資産と考えるべきです。

【主な維持費の例】
・固定資産税・都市計画税
・火災保険料(空き家はリスクが高いため保険料も高額)
・庭木・雑草の手入れ費用(業者に依頼すれば数万円)
・建物の定期点検・修繕費
・冬季の水抜きや通風のための交通費・手間

さらに、2015年施行の「空家等対策特別措置法」により、行政から「特定空家」に認定されると、住宅用地の特例が外され、固定資産税が最大6倍に跳ね上がることもあります。
つまり、空き家を「何もしないで持ち続ける」というだけで、年間10万〜30万円の維持費を払い続ける可能性があるのです。
手放すタイミングを逃せば逃すほど、これらのコストは増え続け、将来の資産価値を削り続けることになります。

庭の手入れを怠ると近隣トラブルに発展

空き家の中でも特に問題となりやすいのが、「庭の管理不足」による近隣トラブルです。
雑草が伸び放題になっていたり、枝が隣家に越境してしまうと、隣接する住民にとって大きなストレスになります。

夏場には蚊や害虫が大量発生したり、放置された木が台風で倒れそうになるなど、危険を感じるケースも多く、苦情や警察への通報に発展することもあります。

【よくある近隣トラブル例】
・雑草が繁茂して隣地に侵入
・枝の越境で剪定要求
・害虫(ハチ・ムカデ・ゴキブリなど)の巣窟に
・枯れ葉が隣家の雨どいに詰まり浸水被害

このような被害が発生すると、所有者には「善管注意義務」(所有者としての管理責任)が求められます。
放置したことが原因で近隣に損害が生じた場合は、損害賠償請求を受けることも十分にあり得ます。
庭の手入れを怠ったがために、数十万円〜100万円を超える損害補償を請求されたという実例も存在するため、「誰も住んでいないから」と油断せず、定期的な管理が欠かせません。

空き家が犯罪の温床になるリスク

空き家を放置することで最も懸念されるのが、犯罪に悪用されるリスクです。
誰も住んでいない、誰も見に来ないという環境は、不法侵入や放火、不法投棄などのターゲットになりやすくなります。

とくに以下のような犯罪・迷惑行為が発生しやすくなります。
・不審者による侵入や住み着き(いわゆる不法占拠)
・放火による火災
・ごみの不法投棄や粗大ごみの放置
・青少年のたまり場化、薬物使用の温床

外観から空き家とわかるほど荒れている場合、防犯意識の低さが見透かされ、悪質な行為の標的になることもあります。
実際に、古びた空き家の玄関が無理やりこじ開けられ、内部に不審者が侵入して生活していたというケースも報告されています。
また、空き家で起きた火災によって近隣の建物まで延焼した場合、所有者が損害賠償を求められることもあります。
これらのトラブルは「誰も住んでいない家を放置した結果、他人を巻き込む事件に発展する」という重大なリスクです。

老朽化した空き家は倒壊・事故の危険も

時間の経過とともに、空き家は急速に老朽化が進みます。
人が住まなくなった建物は湿気・害虫・カビなどの影響を受けやすく、換気や手入れをしないまま放置することで劣化のスピードは加速します。

【老朽化により起きる主なリスク】
・屋根や外壁の崩落(通行人や車両への被害)
・窓ガラスや看板の落下による怪我や物損
・建物の傾きや基礎の沈下による倒壊危険性
・浸水・雨漏りによる木材の腐敗やカビの繁殖
・シロアリや害獣による構造破壊

とくに築30年以上の木造住宅は、10年も放置されると構造体が脆くなり、強風や地震などの自然災害時に倒壊する恐れがあります。
また、これらの物理的リスクが顕在化することで、「周辺の不動産価値の低下」「近隣住民からの損害請求」「行政による緊急対処命令」など、さまざまな連鎖的トラブルにつながる可能性もあります。
放置された老朽空き家は「時限爆弾」と同じです。
壊れる前に、手を打つことが大切です。

行政指導や強制解体の対象になることも

2015年に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法」によって、空き家を放置する所有者への規制は大幅に強化されました。
この法律により、倒壊の危険や衛生上の問題がある空き家は「特定空家等」に認定され、自治体からの指導・命令・最終的には強制撤去が可能になったのです。

【行政措置の流れ】
①立入調査・現地確認
②改善のための助言・指導(文書通知)
③改善命令(未対応なら罰金や過料)
④強制代執行(所有者負担で解体)

さらに、特定空家に指定されると、それまで受けられていた固定資産税の「住宅用地特例」(最大1/6)が解除され、税額が大幅に増える可能性もあります。
実際に、対応を怠った結果「行政によって解体され、その費用300万円を請求された」というケースも報告されています。
ここまでいくと、もはや所有していること自体が「負債」となります。
行政に指摘される前に、空き家の現状を見直し、必要であれば専門家に相談するなどの早期対応が鍵となります。

空き家を放置し続けると売却が難しくなる理由とその対策

「今は使っていないけれど、いずれ売るつもりだからそのままでいい」と空き家を放置していると、
いざ売ろうとしたときに「買い手がつかない」「売却価格が著しく低くなる」といった事態に直面することがあります。
これは単に建物が古くなったからという理由だけではありません。
空き家を長期間放置することで、売却の障壁が次々と積み重なり、結果として「資産」ではなく「負債」になってしまうリスクが高くなるのです。

① 建物が劣化し、解体が前提になる
空き家の建物は、通気や掃除を怠ることで急速に老朽化が進みます。
特に木造住宅では、カビや湿気による腐食、害虫による被害、雨漏りなどが発生し、
建物としての価値を失ってしまうこともあります。
建物が著しく劣化している場合、「現状では住めない」と判断され、購入希望者は“土地目的”での購入を検討することになります。
しかしその際、「解体費用を見込んで値下げしてほしい」と交渉されるのが一般的です。
築年数が古く、解体に100万円以上かかると見込まれる場合、売却価格もその分差し引かれてしまうのです。

② 不動産会社が取り扱いを敬遠する
空き家が長年放置され、建物の状況が不明瞭だったり、土地の境界が曖昧であったり、相続登記が未了だったりすると、不動産会社も取り扱いに慎重になります。
特に以下のような空き家は、仲介依頼を断られるケースもあります。
・中に大量の残置物があり、内覧が困難
・建物が倒壊の危険がある
・法令違反や再建築不可などの制限がある
・所有者が複数人で意思決定ができない(共有状態)
「売りたい」と思った時点で、すでに市場では“売れない物件”として扱われてしまうこともあるのです。

③ 市場での印象が悪くなり、買い手がつかない
現在の不動産市場では、ポータルサイトやSNSなどを通じて物件情報が広く出回ります。
そのため、第一印象が悪い物件は「見た目で敬遠される」傾向にあります。
・雑草が茂った庭
・外壁がひび割れて汚れた建物
・ゴミが残ったままの室内
・写真に“放置感”が出ている

このような状態の物件は、「この後の処理が面倒そうだ」と感じられてしまい、他の整備された物件に比べて競争力を失ってしまいます。

④ 資産価値が年々下がり続ける
空き家を「資産」として保有するなら、その価値は保ちたいものです。
しかし、建物は年々劣化するだけでなく、土地の価値も下がる可能性があります。
・地域の人口減少・高齢化
・近隣に大型施設や交通インフラができない
・景観や治安の悪化
こういった環境変化によって、同じ空き家でも数年前より数百万円も安くなることは珍しくありません。
「あと5年後に売ろう」ではなく、「今すぐの価格」を確認し、下落前に動くことが最大の防衛策になります。

放置する前に「売却」か「相談」かを選ぶべき理由

空き家を売却するか、手放すか、リフォームするかを判断するには、「現状の状態で、どれくらいの価格で売れるのか」を知ることが出発点です。
もし今すぐの売却が難しい場合でも、以下のような選択肢も検討できます。

・空き家バンクや地域の活用制度を利用
・解体して更地にしてから売却
・相続人間で共有を解消し、単独所有にして売却しやすくする
・現状のまま不動産会社による買取で即現金化

いずれにしても、動き出すタイミングが遅れるほど資産価値の低下リスクは高まり、最悪の場合、誰にも引き取られず解体費用だけが残る“負動産”になってしまいます。

空き家は、ただ所有しているだけで「年々損をする資産」に変わってしまいます。
だからこそ、放置せず、今の段階で一度しっかりと現状を把握し、売却や活用の選択肢を検討することが将来の安心と損失回避につながるのです。

空き家を放置するリスクに関するよくあるQ&A

Q1. 空き家を放置していても固定資産税はかかりますか?
はい。誰も住んでいない空き家であっても、所有している限り固定資産税と都市計画税は毎年課税されます。
特に「特定空家」に認定されると、税額が最大6倍になるケースもあるため注意が必要です。

Q2. 空き家の庭の草木が隣の家に迷惑をかけています。責任はありますか?
あります。民法上、所有者には管理責任があるため、枝の越境や雑草の侵入による損害については賠償責任を問われる可能性があります。
放置せず、定期的な管理を行いましょう。

Q3. 使っていない空き家に不審者が入っていたのですが、どう対処すべき?
すぐに警察に連絡し、建物の施錠や防犯対策を強化してください。
また、近隣住民との連携も重要です。空き家は犯罪の温床になりやすいため、長期放置は避けた方が無難です。

Q4. 空き家はどのタイミングで売るのがいいのでしょうか?
「売れるうちに」「資産価値があるうちに」が基本です。
老朽化や市場価格の下落が進む前に、早めの売却を検討することをおすすめします。

まとめ

空き家は、見た目には静かで動きのない「不動産」に見えるかもしれませんが、その裏では時間と共に確実に「リスク」が蓄積しています。
維持費の負担、近隣トラブル、倒壊や火災の危険、不審者の侵入、そして行政による強制措置。
放置していても状況が好転することはなく、むしろ資産価値は年々低下し、最終的には「誰にも引き取られない家」になってしまうかもしれません。
こうした現実に直面する前に、まずは空き家の現状を冷静に見つめ、「売却」「活用」「解体」「相続整理」など、今できる選択肢を具体的に検討することが大切です。
この記事を通じて、「空き家=今すぐ動くべき資産」であることを実感いただけたなら、それがご家族や将来への大きな一歩となるはずです。

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