はじめに
空き家を売却しようと考えたとき、最初に思い浮かぶのは「不動産会社への相談」や「相場の確認」かもしれません。
しかし、その前に知っておくべき大切な情報があります。それが「補助金」と「税制優遇制度」です。
空き家の解体費用や修繕費、売却に伴う税金は思いのほか高額になることがあります。
特に、築年数が古くなっている場合や、建物の状態が悪い場合には、「売却する前に整備が必要」「解体しないと売れない」といった判断が求められるケースも少なくありません。
その際、国や自治体が用意している補助金や減税制度をうまく活用できれば、大きな費用負担を軽減し、売却までの流れをスムーズに進めることが可能です。
この記事では、空き家の売却にあたって知っておくべき各種支援制度を、補助金・経費扱いになる費用・税制上の控除の3つの観点から詳しく解説します。
「今の空き家にお金をかけたくない」「できるだけ得をして売りたい」そんな方にとって、必ず役立つ内容となっています。
空き家売却前に使える主な補助金制度
まずは空き家の売却に向けて活用できる「補助金制度」についてご紹介します。
これらは国や地方自治体が「空き家問題の解消」を目的に実施している支援で、主に以下の3つのパターンがあります。
① 空き家解体補助金
築年数が古く、倒壊リスクがある空き家に対して「除却費用(解体費用)」の一部を補助する制度です。
多くの自治体では、最大50〜100万円程度の補助が受けられます。
条件としては「倒壊の危険がある」「周辺の住環境を損なっている」などが挙げられます。
② 空き家リフォーム補助金(利活用促進)
売却前に空き家を改修・リフォームして利活用を促すための支援です。
地域によっては、耐震改修や断熱工事に対して上限30〜100万円程度の補助が出ることがあります。
「中古住宅としての売却を狙う」「買主にとって魅力ある状態に整える」場合に有効です。
③ 空き家バンク登録時の補助
一部自治体では、「空き家バンク」への登録やマッチング成立時に報奨金が支給されるケースもあります。
また、登録時の調査費・診断費用の補助を受けられる場合もあります。
これらの補助金は「事前申請」が必要で、売却後に申請しても対象外になることがあるため、必ず不動産会社や自治体窓口に早めに相談しましょう。
売却にかかる費用は経費として控除できる?
空き家を売却する際、実はさまざまな「費用」が発生します。
これらは「譲渡所得の計算上、経費として控除可能な費用」として扱える場合があります。
● 主な経費の例
・解体費用(売却のために行った場合)
・測量費・登記費用(境界確定・名義変更など)
・仲介手数料(不動産会社への支払い)
・建物の取り壊しや修繕にかかった費用
・広告費(売却のための告知・募集活動)
これらの費用は、空き家の売却益から差し引くことができ、
その結果、所得税や住民税の負担が軽減されることにつながります。
【例】空き家を1000万円で売却し、必要経費が300万円発生した場合
→ 実際の課税対象となる利益は700万円となり、課税所得が抑えられるため、納税額も少なくて済みます。
注意点としては、「個人的な出費」と「売却のために必要だった出費」を明確に区分することです。
レシートや請求書、領収書は必ず保管しておき、確定申告の際に税理士など専門家のチェックを受けると安心です。
空き家売却に使える「3,000万円特別控除」とは
空き家を売却する場合、条件を満たせば「譲渡所得から最大3,000万円までを控除できる」非常に有利な税制優遇が存在します。
これが「被相続人居住用家屋の譲渡所得の特別控除」、いわゆる「空き家3,000万円特別控除」です。
【この制度の主な条件】
①被相続人が一人暮らしだった自宅を相続した場合
②相続から3年以内の年末までに売却
③売却前に耐震改修または建物を解体して更地にする
④売却額が1億円以下
⑤親族など特別関係者に対しての売却でないこと
例えば、1,800万円で空き家を売却して譲渡益が出たとしても、この控除が適用されれば税金が「ゼロ」になるケースもあります。
注意したいのは、建物をそのまま売る場合、原則として「昭和56年6月1日以降の新耐震基準」を満たしていなければなりません。
それ以外の場合は解体(除却)するか、耐震改修が必要です。
また、この控除は「確定申告が必要」です。申告しなければ自動的に適用はされません。
相続してから時間が経ってしまっている方も、期日をよく確認し早めに準備を始めることが大切です。
自治体独自の支援制度を活用するには?
補助金や控除の制度は国の制度だけでなく、「市区町村ごとの支援」も充実してきています。
全国的な空き家増加に対応するため、各自治体は独自に売却や活用を促進するメニューを設けているからです。
【代表的な自治体支援の例】
・空き家バンク登録者に対する改修費補助(例:最大100万円)
・売却時のインスペクション(住宅診断)費用補助
・解体助成金(上限50〜100万円)
・譲渡や相続登記時の補助金支援(数万円〜)
これらの支援を受けるには、「事前申請」が必要です。
ほとんどの補助金・助成金制度は、作業を始めてしまってからでは対象外になるため、まず自治体の「空き家対策課」や「住宅政策課」などの窓口に相談するのが第一歩となります。
【探し方のポイント】
・自治体のホームページにある「空き家対策」「住宅政策」のページを検索
・「〇〇市 空き家 補助金」で検索して最新情報をチェック
・不動産会社に地元の制度を確認する
地域密着型の不動産会社であれば、自治体支援の情報にも精通しており、申請サポートまで任せられる場合もあります。
補助金や控除を活かす売却スケジュールの立て方
せっかく制度を知っていても、「タイミングを間違えて使えなかった」というのは非常にもったいない話です。
ここでは、補助金や減税制度を最大限に活かすためのスケジュール設計のポイントを解説します。
【空き家売却のステップ】
①現状確認と相談(0〜1ヶ月)
建物の築年数、耐震性、相続登記の有無などを確認。
この段階で不動産会社や行政窓口に相談し、使える制度を把握します。
②補助金申請・必要な手続き(1〜3ヶ月)
解体・改修・測量などが必要な場合、着手前に申請を行います。
補助金の承認を受けてから作業を進めることが重要です。
③売却活動の開始(3〜6ヶ月)
空き家バンクへの登録や不動産会社による販売活動を開始。
必要に応じて、特別控除(3,000万円控除)の対象条件を確認し、スケジュールを調整。
④売買契約・引渡し(6〜9ヶ月)
契約書類に税制優遇の記載が必要なケースもあるため、税理士や不動産会社と連携します。
⑤確定申告(翌年2〜3月)
控除を受けるためには確定申告が必要。書類不備に備えて、レシート・契約書・補助金通知などは全て保管しておきましょう。
これらの流れを踏まえて動くことで、最大限のメリットを得ながら空き家をスムーズに売却することができます。
補助金・控除制度を活用するうえでの注意点
補助金や税制優遇をうまく活用することで、空き家の売却時にかかるコストを大きく削減することができます。
ただし、「制度を知らなかった」「手続きを間違えた」「期限に間に合わなかった」など、
せっかくの支援を活かしきれずに損をしてしまうケースも少なくありません。
ここでは、制度を活用するうえで特に気をつけておきたい3つのポイントと、実際の失敗例を交えながら“つまずかないためのコツ”をご紹介します。
① 補助金は「事前申請」が原則!工事や契約の前に申請が必要
多くの補助金制度は、工事や売却手続きに着手する前に「申請」して、承認が下りた後で作業を始める必要があります。
申請前に勝手に解体や修繕を行ってしまった場合、補助対象外になってしまうことがあるので要注意です。
【失敗例】
空き家の解体補助金が出ると聞いたので、急いで解体工事を先に進めたら、後日申請が間に合わず対象外に。全額自費で負担することに。
【対処法】
工事や売却の前には、必ず市区町村の空き家対策窓口に相談を。
申請の受付期間や必要書類、対象要件をしっかり確認したうえで、申請→交付決定→着手という流れを守ることが大切です。
② 税制控除は「申告しなければ適用されない」
税金の控除制度、たとえば「3,000万円特別控除」や「譲渡費用の経費計上」は、確定申告をしなければ自動的に適用されるわけではありません。
また、売却した年の翌年に申告を忘れてしまうと、控除を受けられないまま課税されてしまうこともあります。
【失敗例】
不動産会社から控除が使えると言われて安心していたが、確定申告の必要性を知らずに放置。結果、数十万円の税金がかかってしまった。
【対処法】
売却が終わったら、その年の2月〜3月に必ず税務署で確定申告を行いましょう。
必要書類(売買契約書、登記簿謄本、領収書類など)を事前にそろえ、分からない場合は税理士のサポートを依頼すると安心です。
③ 制度ごとに「要件」が異なるため、早めに条件を確認する
補助金や控除制度は、それぞれ対象となる条件が細かく定められています。
たとえば、「昭和56年以前の建物であること」「居住の事実がある」「親族に売却していない」など、条件を満たさなければ使えない制度も多く存在します。
【失敗例】
「耐震基準を満たしていると思って売却を進めたが、控除対象から外れていた。あとで知っても申請期限に間に合わず、節税できなかった。」
【対処法】
補助金・控除の活用を前提とした売却であれば、「制度の適用条件」を最初に確認し、必要に応じて、売却前にリフォームや解体の判断を行うのが得策です。
空き家の状態や立地によっては「どの制度が使えるか」が変わるため、自治体のホームページや制度解説ページを活用するほか、地域の不動産会社や税理士に相談することが、確実な制度活用への近道です。
空き家売却に使える補助金・控除制度に関するよくあるQ&A
Q1. 解体費用に補助金は出るの?
はい。多くの自治体で空き家の解体に対する補助制度を設けています。
上限額は50〜100万円前後が一般的ですが、事前申請が必須です。
工事前に申請しなければ対象外となるため注意しましょう。
Q2. 空き家の売却でリフォーム費用も経費にできる?
はい。売却を目的として行ったリフォームは、譲渡所得の計算上「必要経費」として控除できることがあります。
ただし、居住のためのリフォームや趣味目的の工事などは対象外です。領収書をしっかり保管しておきましょう。
Q3. 3,000万円特別控除は誰でも使えるの?
いいえ。相続で取得した空き家に対して、一定の条件(単身世帯だった、耐震基準、親族への売却でないなど)を満たす場合のみ適用されます。
また、適用には確定申告が必要なので、売却前から準備しておくことが大切です。
Q4. 地方の空き家でも補助金は使える?
はい。むしろ地方自治体ほど積極的に補助金を用意していることが多いです。
自治体独自の空き家バンク、改修費、移住促進の支援金制度などがあります。地元の行政窓口に相談するとスムーズです。
まとめ
空き家を売却する際には、ただ不動産会社に依頼して売るだけでなく、国や自治体が用意している「補助金」や「減税制度」を正しく活用することが、結果的に大きな節約や利益につながります。
たとえば、解体費や修繕費に対する補助金、売却時にかかる経費の控除、3,000万円特別控除といった税制優遇は、知らないままでいると何十万円、時には百万円単位の損になる可能性があります。
また、これらの制度はそれぞれ適用条件や申請手続き、タイミングが異なるため、「知っていたけど使えなかった」とならないよう、売却計画の初期段階から確認と準備が必要です。
空き家を抱えること自体が、時間とともに「資産」から「負担」に変わっていくのが現実です。
制度を知り、正しく使いこなし、少しでも有利な条件で売却することが、今後の暮らしや資産管理にも大きく影響します。
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