はじめに
空き家を売却したら「税金はどれくらいかかるのか」と不安になる方は多いでしょう。
とくに相続によって空き家を取得したケースでは、税金のルールが複雑になりやすく、確定申告が必要かどうかも判断が難しくなります。
また、空き家を売却した場合に使える「3000万円の特別控除」や、「空き家を売却した年の翌年に必要な確定申告」など、知らなければ損をする制度も多くあります。
正しい知識を持たずに売却を進めると、思わぬ税負担が生じたり、控除を受けられずに余計な税金を支払ってしまうリスクもあります。
この記事では、「空き家 売却 税金」に関する基礎知識から、特例制度の活用、確定申告の流れや必要書類まで、はじめてでも理解できるよう丁寧に解説していきます。
空き家の売却で損をしないためにも、まずはこの記事で正しい税務の知識を身につけておきましょう。
空き家を売却したらかかる税金の種類
空き家を売却すると、一定の条件で「譲渡所得税」という税金が発生します。
この譲渡所得税は、売却して得た利益(譲渡所得)に対して課税されるもので、「所得税」「住民税」「復興特別所得税」の3つが含まれます。
まず、譲渡所得の計算式は以下の通りです。
譲渡所得 = 売却価格 −(取得費 + 譲渡費用)
「取得費」とは、空き家を取得した際の価格や登録免許税、不動産取得税などを指します。
相続で取得した場合は、被相続人が当時購入した金額を基に計算します。
記録が残っていない場合は「概算取得費」として売却価格の5%で計算することも可能です。
「譲渡費用」とは、不動産会社への仲介手数料、測量費、解体費用、登記費用などです。
これらを控除して残った金額に対して課税されるのが「譲渡所得税」です。
さらに、所有期間によって税率が異なります。
5年以下の所有なら「短期譲渡所得」、5年を超えていれば「長期譲渡所得」となり、後者の方が税率は低くなります。
3000万円の特別控除とは?
空き家の売却時に「3000万円の特別控除」が適用されると、譲渡所得から最大3000万円を差し引くことができます。
これにより、多くの場合で課税額がゼロになる可能性があります。
この特例は、相続により取得した空き家に限られます。
正式には「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」と呼ばれ、以下の条件をすべて満たす必要があります。
・亡くなった方が一人暮らしで、相続開始時にその空き家に住んでいたこと
・昭和56年5月31日以前に建築された建物であること
・相続した空き家を、相続から3年目の年の年末までに売却していること
・売却までの間、空き家を誰も住居として利用していないこと
・建物を取り壊すか、耐震補強した上で売却すること
これらの条件を満たすことで、最大3000万円の譲渡所得控除を受けることが可能です。
ただし、1回限りの制度であり、共有名義になっている場合は個別に判断が必要です。
空き家売却後に確定申告が必要なケースとは?
空き家を売却した後は、多くの場合で確定申告が必要になります。
特に「空き家 売却 確定申告」「相続 空き家 売却 確定申告」といったキーワードで検索されるように、相続を伴うケースでは手続きが煩雑になりやすいため、注意が必要です。
まず、譲渡益が出た場合(=売却価格が取得費や譲渡費用を上回った場合)には、必ず確定申告が必要です。
逆に損失が出た場合でも、「譲渡損失の損益通算」や「繰越控除」が可能な場合があるため、結果的に税金が戻ってくることもあります。
また、「3000万円控除」を受けるためには、確定申告をしなければ特例が適用されません。
つまり、税金を軽減するための制度を活用するには、確定申告が必須ということです。
確定申告の期間は、売却した翌年の2月16日~3月15日です。これを逃すと控除が受けられず、予定以上の税金を支払うことにもなりかねません。
空き家売却の税金計算方法
空き家売却によって実際にかかる税金を把握するには、「譲渡所得」の計算がポイントです。
この計算式は以下の通りです。
譲渡所得 = 売却価格 −(取得費 + 譲渡費用)
ここで注意すべきは、「取得費」です。
相続の場合、被相続人が購入したときの価格を引き継ぎますが、もし不明な場合は売却価格の5%を「概算取得費」として使うことができます。
また、「譲渡費用」として控除できる項目には以下があります。
・不動産会社への仲介手数料
・建物の解体費用(条件による)
・登記費用
・測量費・境界確定費用
・広告費やチラシ作成費
たとえば、売却価格が2,000万円、取得費が100万円、譲渡費用が200万円だった場合、譲渡所得は1,700万円となります。
ここから「3000万円の特別控除」が使えれば、課税対象はゼロになります。
一方、控除を使わない・使えない場合には、この1,700万円に税率(長期譲渡所得で約20.315%)をかけた約345万円の税金が発生することになります。
売却前にやっておきたい税金対策と準備
空き家の売却における税金トラブルや損失を避けるためには、事前の対策が極めて重要です。
とくに相続で得た空き家は、放置しておくことで「3000万円控除」の適用対象から外れてしまう恐れもあるため注意が必要です。
まず、売却を検討している場合は「空き家の状況を整理」しましょう。
耐震基準を満たしていない空き家の場合、3000万円控除を受けるためには売却前に解体するか、耐震改修を行う必要があります。
これを怠ると、控除の適用外となり、数百万円単位で税額に差が出る可能性もあります。
また、土地の名義や登記状況が未整備のままだと、売却に進めないだけでなく、税務署からの問い合わせや確定申告時にトラブルとなることもあります。
さらに、売却後に慌てないよう、確定申告に必要な書類(取得時の契約書、領収書、譲渡費用の明細、不動産登記簿、固定資産税の通知書など)は、早めに整理・保管しておくと安心です。
「空き家 売却 税金 計算」や「空き家 売却 確定申告 必要 書類」と検索する方が増えているように、今後の税務対応を見越しての準備が、損をしない最大のポイントです。
空き家売却の税金で失敗しやすい3つのケースと対策
空き家を売却する際、「税金の知識がなかったために損をした」というケースは意外と多く見られます。
ここでは、特に多い失敗例とその対策を3つご紹介します。
ケース1|3000万円控除を受けられる条件を満たしていなかった
3000万円の特別控除は非常に有効な制度ですが、適用されるための条件が非常に厳格です。
特に多いのが「建物を解体せずに売却してしまった」「売却が相続から3年以内の期限を過ぎていた」などの理由で控除が適用されないケースです。
この制度では、売却する建物が旧耐震基準のものであることや、売却時に建物が解体済みであるか、耐震補強が完了していることが求められます。
また、売却は「相続のあった年の翌年の1月1日から3年を経過する年の12月31日まで」に行う必要があります。
対策
・売却前に耐震診断を実施し、補強が必要な場合は早めに工事を実施する。
・売却期限が迫っているなら、解体して「土地」として売却することを検討。
・制度適用前提であれば、売却スケジュールを逆算して立てておくことが重要。
ケース2|譲渡所得の取得費を過小に見積もってしまった
譲渡所得の計算では、「取得費」が売却益に大きく影響します。
しかし、相続で空き家を取得した場合、被相続人が購入したときの書類が見つからず、「取得費が不明=概算取得費として5%しか使えない」と誤解して、税金を多く支払ってしまう人もいます。
実際には、建物の固定資産税評価額から建物の価格を割り出したり、登記簿謄本から参考になる記載を探すことで、もう少し正確な取得費の推定ができる可能性もあります。
対策
・相続した空き家について、可能な限り被相続人の購入記録や書類を探す。
・過去の確定申告書や納税証明書から建物価格のヒントを得られることもある。
・取得費が不明な場合でも、税理士に相談すれば有利な方法を見つけられる場合がある。
ケース3|確定申告を忘れてしまい、控除が受けられなかった
空き家を売却した多くの方が見落としてしまうのが、「特例の適用には確定申告が必須」という点です。
3000万円控除をはじめ、取得費や譲渡費用を正しく計算して控除するためには、売却の翌年に確定申告を行う必要があります。
しかし、「損失が出ていないから関係ないだろう」「税務署から連絡が来なかったから大丈夫」と思い込んで、申告をせずに終わってしまう人も少なくありません。
これにより、実際は税金を納めなくてよかったにもかかわらず、控除が受けられず税金を支払ってしまう…という損をしてしまうケースが発生します。
対策
・売却益が出ていないと感じていても、必ず税理士や専門業者に申告の要否を確認する。
・3000万円控除を使いたい場合は、売却後すぐに申告準備を始めておく。
・控除対象者であっても、無申告のままでは特例が適用されません。
ケース4|税務署からの問い合わせ・追徴課税のリスクに焦る
空き家を売却した後、「確定申告をしなくてもいい」と自己判断した結果、数ヶ月〜1年後に税務署から連絡が来てしまうケースもあります。
とくに、不動産取引は登記内容や固定資産税の情報から容易に把握されるため、税務署にとって“見落としにくい”申告対象です。
もし譲渡所得が発生していた場合、申告漏れとして追徴課税の対象になることもあります。
また、3000万円控除の申請を忘れていて後から申告したとしても、期限後では受理されないこともあります。
対策
・売却が完了した段階で、確定申告の準備スケジュールを明確に立てておく。
・税理士や不動産会社に申告のサポートを依頼する。
・提出期限を過ぎた場合でも、早めに相談することで修正申告等でリカバリーできる場合もある。
空き家売却の税務リスクを避けるための準備チェックリスト
①相続登記は完了しているか?
②3000万円特別控除の要件を満たしているか?
③耐震補強 or 解体の対応は済んでいるか?
④取得費・譲渡費用の領収書を保管しているか?
⑤確定申告の時期と必要書類を把握しているか?
⑥税理士や専門業者に相談しているか?
これらをチェックしておくことで、「土地 売却 税金 空き家」などで検索されるような典型的な失敗を防ぎ、安心して売却から納税までを進めることができます。
空き家売却の税金に関するよくあるQ&A
Q1. 空き家を売却したら必ず税金がかかるのですか?
A. すべてのケースで税金が発生するわけではありません。
取得費や譲渡費用を差し引いた後の「譲渡所得」が出た場合のみ課税対象になります。
さらに、「空き家 売却 3000万円控除」などの特例が適用されると、課税額がゼロになることも多いです。
Q2. 相続した空き家にも税金がかかりますか?
A. 相続時にかかるのは「相続税」、売却時にかかるのは「譲渡所得税」です。
つまり、相続で取得した空き家を売却する場合、取得時とは別に売却時の税金がかかることがあります。
Q3. 空き家を売却したあとの確定申告で必要な書類は?
A. 主に以下の書類が必要です。
・売買契約書(売却時)
・取得時の契約書または登記簿謄本
・仲介手数料など譲渡費用の領収書
・相続関係説明図(相続の場合)
・建物の解体費用や耐震補強の証明書(控除対象用)
・固定資産税評価証明書
Q4. 空き家を相続してから3年以内に売らなければいけませんか?
A. はい。3000万円の特別控除を使う場合、「被相続人が死亡した日以後3年を経過した日の属する年の12月31日まで」に売却する必要があります。
それを過ぎると控除は受けられません。
まとめ
空き家の売却では、想定していた以上に多くの「税金」に関する判断が求められます。
譲渡所得税の計算、3000万円の控除制度の活用、確定申告の手続きや期限、必要書類の準備など、ひとつでも見落とすと損失につながる可能性があります。
とくに「空き家 売却 税金」「空き家 売却 確定申告」「空き家 売却 税金 控除」といったキーワードで調べている方にとって、複雑な税制度を理解しながら進めるのは容易ではありません。
しかし、制度を正しく理解し、適切な手続きを踏めば、多くの場合で税額を大きく抑えることが可能です。
そのためには、売却前の早い段階での準備と、税務や不動産に詳しい専門家への相談が欠かせません。
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